ロボット手術センター

診療科・部門

手術支援ロボット da Vinci Xi 2台目導入!

当院では、2019年1月より手術支援ロボット[da Vinci Xi]を導入し、前立腺がん、直腸がんの手術よりロボット手術を開始しました。
その後、保険適応の拡大に伴い、消化器外科領域や泌尿器科領域の対象疾患を広げ、婦人科領域での手術も開始しました。
これまで、1台のロボットで手術を行っていましたが、手術件数の増加や手術症例の拡大に伴い、ロボット手術のニーズを満たすことが困難となったため、2024年11月に2台目のロボットを導入しました。 機種は従来と同じ[da Vinci Xi]です。
手術支援ロボット[da Vinci Xi]は、①ロボットアーム ②ビジョンカート ➂コクピット の3つの機器から構成されています。 執刀医は、鉗子を直接握るのではなく、患者さんの近くに置かれたコクピットに座り、3Dで立体的に映し出される術野の拡大画像を覗き込みながらロボットアームを操作することで手術を行います。
腹腔鏡手術との大きな違いは、鉗子操作が正確で繊細な手術を行えることです。手ぶれが少なく、ロボットにしかできない動き(関節の360℃回転など)ができるため、腹腔鏡下手術では器具が届きにくいところにも手術が可能です。

ダヴィンチ

ロボット手術には、出血量の減少などの安全性が高く、良好な治療成績が期待できるだけでなく、術後の痛みが少なく、回復が早いというメリットがあるため、早期の社会復帰や種々の機能温存を行うことができます。
従来より行ってきた手術件数の増加や新規術式手術の導入などが予想される中、ロボット手術センターでは新旧問わず、手術の安全性を一番に考え、医師・看護師・臨床工学士等の現場スタッフが密に連携と取りながら、より円滑でより安全な手術が可能となるよう、様々な面での取り組みを行っています。

小野 豊

おの ゆたか

役職
  • 泌尿器科 部長
メッセージ

ロボット手術を必要とするすべての患者さんにロボット手術を提供
今や、ロボット手術はごく普通の手術となり、泌尿器科においては、従来の開腹や腹腔鏡で手術のほぼすべてがロボット手術に置き換わろうとしています。しかし、今まではハード面の制限でロボット手術を行う症例を選択する必要がありました。
今回2台目の手術ロボットda Vinci Xiの導入で、ロボット手術を必要とするすべての患者さんにロボット手術を提供出来るようになりました。

中田 健

なかた けん

役職
  • 消化器外科 部長
メッセージ

ロボット手術は標準治療へ。
腹部外科手術は、開腹から腹腔鏡、そしてロボット手術へと進化してきました。キズが小さく、身体への負担が少なく、出血量や術後合併症を減らし、より安全で緻密な手術が可能です。われわれ外科医が「理想」としていた手術が、まさに「現実」のものとなったのです。ロボット手術の適応が拡大され、いまや標準治療の一環となりつつあります。当院では皆さまに安心してロボット手術を受けていただける体制を整えています。

北井 俊大

きたい としひろ

役職
  • 産婦人科 副部長
メッセージ

骨盤内での緻密な手術が可能です。
手術支援ロボット「da Vinci Xi」を用いた手術では、従来の腹腔鏡手術と比較して、3Dモニターによる立体視が可能で、関節機能を備えているためにこれまでは不可能であった手術操作が可能となっています。婦人科領域でもロボット手術の実施件数は増加しており、適応術式も広がっていくことが予想されます。当院でもロボット手術を希望される多くの皆さまに手術を受けていただきたいと考えています。

田中 恊子

たなか きょうこ

役職
  • 手術棟 副看護師長
メッセージ

負担が少ない優しい手術。
ロボット手術は、腹部に小さな穴を数か所開けて行います。開腹手術に比べて切開創が小さく、出血量や術後の痛みが少ない手術です。患者さんへの負担が少ないことが一番のメリットだと思います。ロボット手術を受けた患者さんは、通常の開腹手術に比べて、痛みがなく歩けて日常生活が過ごせています。患部以外の正常な組織や神経を傷付けないため、機能を温存できるのも安心材料です。早期に社会復帰を考えておられる患者さん、ご高齢の患者さんにお勧めします。

河原 肇

かわら はじめ

役職
  • 臨床工学技士 副科長
メッセージ

多職種が連携してサポート。
私たちは、医療機器が安全かつ正確に使用できるよう管理することを日々心がけています。手術支援ロボット「ダビンチ」の導入により、医師はもちろん、看護師、臨床工学技士にも、今まで以上に連携力が求められるようになりました。マシンの特性を深く理解した上で、最適な手術計画を立てて手術に臨めるよう努めています。今後ますます「ダビンチ」の活躍の場が増えるにあたり、チーム一丸となって連携力を発揮していきたいと考えます。

費用について

現在、「ダビンチ手術」は、前立腺がん手術、腎がん手術、大腸がん手術、良性子宮全摘術、骨盤臓器脱手術を始め各種手術への保険適用が拡大しています。そのため、先進的な医療であるにも関わらず、医療費の負担は従来の手術と変わりません。
また、高額療養費制度を利用することで医療費の負担を少なくすることが可能です。

Q&A

どんな病気に対応していますか?

現在、当院では泌尿器科領域の前立腺がんに対する前立腺全摘出術、腎がん(腎臓がん)に対する部分切除術、膀胱がんに対する膀胱全摘術、消化器外科領域の大腸がんに対する直腸切除術および結腸切除術、婦人科領域の子宮良性疾患に対する子宮全摘術、骨盤臓器脱に対する仙骨膣固定術および膣断端挙上術を対象としております。今後、さまざまな疾患に対応していきたいと考えています。

傷はどれくらい小さいのですか?

通常の開腹手術に比べて、腹部に約1cmの小さな穴をあけ、内視鏡や鉗子を挿入して手術を行うため、極めて小さな傷口です。術式によって異なりますが、穴の数は最大6か所です。

どうすれば手術を受けられますか?

まずは、お近くのかかりつけ医を受診していただき、紹介状をお持ちのうえ、当院の「ダビンチ手術」担当医へご相談ください。

泌尿器科領域について

日本におけるロボット手術は、2012年に前立腺がんに対する前立腺摘除術が初めて保険収載され、次いで2016年に腎がんの腎部分切除術へと拡大。以降急速に様々な手術へとその適応は広がりました。

当科においては2019年より手術支援ロボットda Vinci Xiを導入し、前立腺摘除術と腎部分切除術を開始しました。その後の保険適応疾患の拡大に伴い、2020年より膀胱全摘除術、2022年より腎盂形成術を開始しました。現在、前立腺がんに関しては性機能温存手術を積極に行っており、入院期間は基本的に11日としています。膀胱全摘では十分な精度のリンパ節郭清を行うことができるようになるとともに、イレウス、術後感染症等の合併症が低減。入院期間も約3週間程度まで減少しています。また安全性の向上によって、高齢や合併症のために手術適応となりにくかった患者さんへの手術も可能になりました。
2022年に腎臓がんに対する腎全摘術、上部尿路がん(腎盂がん、尿管がん)に対する腎尿管全摘術、副腎腫瘍に対する副腎摘除術も保険適応となりましたが、外科のロボット手術症例が急増したこともあり、ロボット支援手術を行える患者さんを絞らざるを得ない状況になりました。

この度、念願のda Vinci Xiの増設が叶いました。現在当科では、前立腺全摘除術(前立腺がん)、膀胱全摘除術(膀胱がん)、腎部分切除術並びに腎摘除術(腎がん)、腎尿管全摘除術(腎盂尿管がん)、腎盂形成術(腎盂尿管移行部狭窄症)に対して施設認定を取得しています。今後も安全でより良い手術を提供できるよう精進することはもちろんですが、以前より多くの症例に対するロボット支援手術が行えるようになったことで、必要な患者さんに対し最善の治療を提供できるようになったと感じています。

消化器領域について

『中河内医療圏初導入の手術支援ロボット da Vinch Xiを用いた大腸がん手術』

大腸がんとは

現在の日本では『2人に1人ががんになり、3人に1人がんで亡くなる』と言われています。その罹患者数(がんになる数)、死亡者数が増加しているのが大腸がんです。
2019年のデータでは、男女合わせると日本の罹患者数の第1位でした。 また、死亡者数は男性では2位、女性では1位であり、大腸がんは頻度が高い疾患と言えます。

大腸がんの治療方針

大腸がんの治療には、内視鏡治療、手術治療、化学療法、放射線療法があり、治療方針はがんの進行度(ステージ)によって決められます。
内視鏡治療のみで完治するステージ0の大腸がんや、手術による完治が困難で化学療法や放射線療法の適応となるステージⅣの大腸がん以外は、多くが手術治療の適応となります。そのため、手術治療でがんを確実に取り除くことが重要です。

今までの大腸がん手術

大腸がんの手術はもともと開腹手術が基本でした。実際に臓器に触れて、直感的な操作ができるなどの長所がある反面、傷が大きく、痛いため術後の回復が遅れるなどの短所がありました。
30年ほど前から日本でも腹腔鏡手術が導入され、傷が小さく、体に優しい手術が普及しましたが、腹腔鏡手術はモニターを見ながら細長い器具を使って操作するため手術が難しいという短所がありました。
ロボット支援手術は開腹手術と腹腔鏡手術の短所を解決できる方法として導入されました。

ロボット支援手術とは

ロボット支援手術とは、執刀医がロボットをコントロールしながら行う手術であり、当院では da Vinch Xi という器械を使用しています(図1)。 執刀医は立体的な3Dモニターで術野を10倍まで拡大して見ることができるため、微細な解剖も鮮明に認識でき、細部の手技が正確に行えます。執刀医自身が患者さんの体内に入って手術をしているかのように視界が良好です(図2)。
ペーシェントカート(図3)には4本のアームがあり、それに付けられた内視鏡カメラと3本の鉗子を体内に挿入します。執刀医の細かな手の動きをコンピューターへ忠実に伝え、アームが体内で連動して手術を行います。da Vinch Xi の鉗子は手首以上の可動域と柔軟でブレのない確かさを持ち、指先にも勝る細かな動きを可能にします(図4)。

これらの優れた機能により、実際の手術でも

  • 手術中の出血が少ない
  • 術後の合併症のリスクが低い
  • 術後の回復が早い

などの様々なメリットが期待できるため、2018年にロボット支援直腸がん手術が保険収載されました。

(図1)da Vinch Xi

(図2)da Vinch Xi の3Dモニター

(図3)ペーシェントカート

(図4)da Vinch Xi の操作性

ロボット支援手術の微細で正確な操作

最先端のロボット支援手術を大腸がん手術に応用

2018年に直腸がんはじめ消化器外科領域の術式でロボット支援手術が保険収載となって以降、現在に至るまで消化器外科領域でのロボット支援手術の症例数は急速に増加しています(図5)。
2022年にはロボット支援結腸がん手術も保険収載され、すべての大腸がんでロボット支援手術が実施可能となりました。

(図5)国内のロボット支援手術の症例数の推移

当院でのロボット支援大腸がん手術

当院では2019年1月にda Vinch Xiを導入し、2019年3月にロボット支援直腸がん手術を開始しました。導入当初は安全第一で基本手技を確立させ、その後徐々に高難度手術へと適応を拡大しました。直腸がんは2024年12月の時点で240例のロボット支援手術を施行しています。また、2022年からはロボット支援結腸がん手術が保険収載されたため、ロボット支援結腸がん手術も開始しました。ロボット支援手術症例数は年々増加し、2023年のロボット支援大腸切除症例数は133例となり、関西エリアでは2番目に多い症例数となりました。さらに2024年は症例数が増加し152例のロボット支援大腸がん手術を施行しました。(図6)。
また、当院にはロボット支援大腸がん手術のプロクター(指導医)が3名従事しており、近隣地域の患者様へ質の高いロボット支援手術を提供することが可能です。現在は大腸がんの局在、部位を問わず、すべての切除可能な大腸がんに対してロボット支援手術を用いた手術が可能となります。

(図6)当院のロボット支援大腸がん手術の症例数

大腸がん手術のどのような場面でロボットが有効か?

大腸がんの手術においては根治性を向上させることが生存率の改善に直結します。また同時に、神経や各臓器の機能を温存することも生活の質を保つうえでは重要です。それらを両立するために切除する腸管と温存する臓器の間に適切な剥離層を保ちながら手術をする必要がありますが、ロボット支援手術による精緻で安定した手技により高いレベルで両立が可能となります。
また、直腸がんは肛門の近くに存在するため、肛門を温存できるかどうかが大きな問題となります。(図7)のように腹腔鏡のまっすぐな鉗子では肛門周囲への到達が難しく、骨盤最深部での操作には適していません。ロボット支援手術では自在に操作できるカメラとブレのない安定した視野のもと、ロボット支援手術の多関節性、可動性を生かすことで、肛門周囲の剥離操作も比較的容易となります。結果としてがんから十分な距離を確保してがんを切除することが可能となり、がんの根治性を向上させ、肛門機能の温存にも寄与することができます。
また、ロボット支援手術の骨盤深部での安定した操作性は、側方郭清や他臓器合併切除でも有用です。このような高難易度手術こそよりよいロボット支援手術の適応と考えています。

(図7)骨盤最深部のイラスト

ロボット手術センター センター医師

向かって中央:中田部長、左:谷田副部長、右:杢谷医長

婦人科領域について

婦人科領域では2018年4月よりロボット支援下手術が保険適応となり、ロボット支援下手術が開始されました。これまでに、①子宮筋腫など良性子宮疾患に対する子宮全摘術、②骨盤臓器脱(子宮や膀胱、直腸などが下垂し、腟から脱出している病態)に対する仙骨腟固定術及び腟断端挙上術、③早期子宮体癌に対する子宮悪性腫瘍手術が保険適応となっています。 当院では、これらのうちで、良性子宮疾患に対する子宮摘出術、骨盤臓器脱に対する仙骨腟固定術と腟断端挙上術が実施可能です。早期子宮体癌に対する子宮悪性腫瘍手術は、従来の腹腔鏡手術で実施しております。今後さらに保険適応が拡大されれば手術適応を広げていきたいと考えています。

ロボット支援下手術では、全身麻酔下に手術を行います。開腹手術と異なり、大きな皮膚切開は不要であり、臍の高さで左右に5ヶ所、それぞれ1〜2cm程度皮膚を切開します。皮膚切開部より手術に用いる器具(ハサミ、電気メス、臓器を把持する鉗子など)を腹腔鏡に挿入し、それを手術支援ロボットに接続します。術者は腹腔内を写したモニター画面を見ながら、ロボットを操作して手術を行います。従来の腹腔鏡手術と比較して、術野を拡大視することができ、使用する手術器具は関節機能を有することから、より繊細な手術操作が可能となりました。これらは保険適応となっている全ての術式でメリットとなりますが、骨盤臓器脱に対する手術でより大きなメリットとなると考えています。

当院では、2024年11月より手術支援ロボットが2台体制となり、これまで以上にロボット支援下手術の実施状況が整っております。産婦人科でも、手術適応と考えるさんにはロボット支援下手術を提案させていただきます。患者さんでロボット支援下手術を希望される際には、かかりつけ医を通じて当院へご相談くださいますようにお願いします。