スタッフインタビュー
鷹野 譲 / 副院長(医務局長・循環器内科)
市立東大阪医療センターは東大阪市、八尾市、柏原市からなる中河内2次医療圏の中で唯一の病床数500床以上を有する基幹病院であり、地域支援病院でもあることから、救急医療については「断らない救急」を掲げて、日夜診療にあたっております。コロナ前までは、年間6000件ほどの救急車を受け入れ、応需率としては80%程度でしたが、コロナ禍となって受け入れ件数、応需率とも減少しました。
これは、どこの病院でも同じであると思いますが、コロナでは感染患者とそうでない患者の導線を分ける必要が生じ、職員の感染予防の徹底、病棟にも専用病床を準備するなど、設備や職員数は変らないのに新たに対処しないといけない事柄が増大しました。それに伴い、どうしても救急受け入れは制限されるのですが、そのような中で、市立東大阪医療センターの救急外来では、当初はまずコロナ患者の受け入れを最優先として対応しました。その結果、コロナ専用病棟を準備してコロナ入院患者の受け入れを開始した令和2年4月15日から、新型コロナ感染症が5類感染症となった令和5年5月8日までに、市立東大阪医療センターで受け入れた新型コロナ入院患者は2133例と大阪府下でも有数の病院となりました。
コロナ禍での一般救急については、当初は直接命にかかわる脳、循環器疾患については通常通りの対応として、それ以外はコロナ診療を優先としていました。コロナ感染症の病態がある程度わかってきてからは、新型コロナ感染の有無にかかわらず「断らない救急」を再開しました。そのため、受け入れ件数は令和4年にはほぼコロナ禍前と同等の水準に戻り、5類感染症となった令和5年は過去最高の受け入れ件数(6288件)となりましたが、応需率の方は低下したままです。中河内圏域全体をみても応需率はコロナ禍前より低下しており、これはコロナを通じて救急搬送依頼件数が増加したものと思われます。
「断らない救急」を掲げているにもかかわらず応需率が上がらないのは大変心苦しいのですが、ここで市立東大阪医療センターの救急受け入れ体制について少し説明いたします。実は、市立東大阪医療センターには救急専門医が不在で、昨年度までは救急外来に専従する医師も不在でした。私は救急担当副院長ということで、救急外来や時間外診療全般を統括していますが、救急外来で直接診療を行っているわけではありません。市立東大阪医療センターの救急外来での診療は、院内の各診療科の医師が交代で担当しています。
平日の日中は内科系診療科の医師1名と外科系診療科の医師1名が当番となり、それぞれ内科系救急搬送、外科系救急搬送に対応しています。昨年度からは、曜日は限られていますが、救急専門の非常勤の医師が来られるようになりました。また今年度から、時短ではありますが、救急に専従していただける医師が1名着任されますので、平日日中の救急外来診療は少し充実することが期待されます。
夜間、休日は、内科系外科系を問わず専攻医を中心とした比較的卒後年度の新しい救外担当当直医1名と臨床研修医2名の3名体制で対応しています。若い先生が中心となっていますので、各診療科のオンコール体制は準備しており、必要があれば院内の入院患者を担当する上級の当直医も応援に駆けつけてもらえるようにするなど、バックアップ体制を整えています。
以上のような診療体制ですので、対応するのは原則として2次救急疾患となります。ただし、脳、循環器疾患については、それぞれ脳ホットライン、心ホットラインを立てて専門医が直接対応する体制となっていますので、3次救急疾患にも対応可能です。それ以外の3次救急については、隣接する中河内救命救急センターと協力して対応するようにしています。
コロナ禍以降、救急搬送の受け入れ件数は増加しているにもかかわらず応需率が上がらない理由の一つに、救急外来の設備の問題があります。市立東大阪医療センターの救急外来には、救急搬送されてくる患者を受け入れるための、いわゆる初療室が一つしかありません。従って、救急搬送依頼が重なった場合は、どうしても断らざるを得ない状況になります。また、観察ベッドのスペースも充分ではなく、待機していただく場所がないといった理由で搬送をお断りすることもあります。
このような状況を改善すべく、救急外来を改修する計画が持ち上がっています。近い将来、初療室が2つ以上、オーバーナイトで患者さんの状態を診ることができる病床を備えた救急外来ができれば、今以上に受け入れ件数を増やして応需率を上げることが可能になると思われます。また、消防局、救急隊と連携して、市立東大阪医療センター内に救急隊のワークステーションを置く構想もあります。救急隊の方々との連携をより密に行うことで、適切な救急搬送、受け入れにつなげていけるようにしたいと思っています。
救急専門医の先生あるいは救急を頑張ってみようと思っておられる先生、症例数は豊富ですしスタッフはやる気に満ちています。是非、お声がけいただければと思います。
スタッフ一同、地域の救急医療に少しでも貢献していけるように頑張っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
年 | 市立東大阪医療センターの救急車受入件数 | 市立東大阪医療センターの応需率 | 中河内2次医療圏の救急車受入件数 | 中河内2次医療圏の応需率 |
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2018 | 5862 | 78% | 37576 | 73% |
2019 | 6051 | 79% | 37861 | 70% |
2020 | 4556 | 70% | 33021 | 63% |
2021 | 4198 | 61% | 31424 | 53% |
2022 | 5680 | 52% | 35902 | 45% |
2023 | 6288 | 59% | 39596 | 53% |
2020〜2023年:新型コロナ感染症蔓延期間